2010年6月17日木曜日

言葉を慎むこと 裸踊りの真意

 戦犯として亡くなった日本の政治家が、処刑の直前に「天皇万歳」を、天皇マ
ンザイですか?などと戯れ言のようなことを言ったという。その人の名は広田弘
毅。ちなみにこの話はフィクションという説もある。しかしその人物象に少なか
らず暗い影を落としている。

 先日、首相を辞任した鳩山由紀夫氏がTwitterで「裸踊りをさせてくれてあり
がとう」と呟いたらしい。元々つかみ所のなかった印象にいっそう拍車がかかっ
てしまった。彼の発言を真剣に受けとる人は、いなくなってしまうのだろうか。

 此の地に棲んではや4年となる。この土地の言葉を一生懸命練習したがとうと
う身につかなかった。家内に中途半端な方言は止めて欲しいと言われてしまっ
た。おかしな言葉を娘が真似するのがいやなのだという。

 人は、言葉を慎まなくてはならない。広田・鳩山・私に共通していいたのは、
油断、である。油断すれば思いもよらない言葉が遂々と出てしまう。しかも、一
度言ってしまったことは消えることはない。

 ところで、国民に沖縄県のことを考えるきっかけを作った鳩山氏の功績は大き
いと思う。米国への追従路線に一矢報いようとした姿勢も国民の心には清々しく
映ったに違いない。一国の代表として米国と喧嘩する度胸の持ち主は、今の日本
には、そうはいない。

 この人は、純粋で強い信念を持つ、好人物であると思う。ただ、それが周囲に
伝わりにくいのだ。理系の人間に似た傾向があるように思う。

 「裸踊り」は、私なりには解釈できる。要するに首相というパフォーマンスに
興じた、と言いたいのだろう。衆目の前で恥も外聞も捨てて、その役割を演じた
のだ。私がこう解釈するのは、学会発表でもパフォーマンスに興じる気持ちで臨
むことがあるからだ。元々、人前に立つことが苦手なのだが、「裸踊り」でもす
ると思えば、度胸がわいてくる。この感覚に近いのではないだろうか。

 鳩山前首相はいつの日か再評価されるだろう。政治家としてはともかく、勇気
と信念の人として。

 

 

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